「トマトソースのいか海老アサリにほうれん草ときのこをいれて下さい。辛したらこ大盛りで。ひとつをセットに、アイスコーヒーでお願いします。と、ピザのトマトときのこにしてもらえますか?」

これはその店に入ると口から勝手に出てくる台詞です。

何度も何度も繰り返すうちに決まってきてお経や呪文みたいにすらすら出てくるようになりました。

早良区の山に囲まれたとてものどかな
場所にその店はあります。
通りかかったのでふらりと入りましたなんて人はまずいないと思われる。ご近所さんは別として。その店に行きたくてそこに行きます。

昔はもっと町中にありました。町?街?有田です


私は小学生でした。
カウンターだけのこじんまりした細長いつくり。
当時はアイスクリームなんかもおいてあって喫茶やスナックのような大人の雰囲気でした。

ある時何故か父の友人とわたし二人きりになって緊張、バニラアイスに添えられた真っ赤なサクランボを凝視した記憶が甦りました。


あれはもしかして父の彼女だったのでは。。と今思いました。

脱線しました。

その店は
たぶん父が有田ゴルフの打ちっぱなしに行く時にちょうどよく、美味しいから気に入ったと思われます。

しかも話題のお店だったはず

当時はパスタじゃない。スパゲッティ。
スパゲッティ屋さんはめずらしかった。

手づくりの生麺、ソースは優しくておいしい。

はじめは母やおばあちゃんの影響で和風きのこをよく食べましたが、トマトソースの美味しさを知ってからはそればかり。

辛したらこにレモンをギュウッと絞ってタバスコを思い切りかけるのは父の影響で、ホワイトソースのイカとピーマンも濃くなくて優しくて滅茶苦茶おいしいけどそれ以上に私はそこのトマトソースをやっぱり食べたくなります。いつでも。

と綴りながら無性にあのホワイトソースが食べたくなりました。
でもきっと店に入ったらいつものやつを頼んでしまう。

その店のホワイトソースは全然しつこくありません。最後まで美味しくすすれる優しいスープみたいです。
トマトソースも優しい。
ミートソースも微笑んでしまうくらい優しい。

手づくり生麺なのでそもそも優しい。

麺も汁もずるずる啜って食べます。

染み渡る。。

みそ汁

のカテゴリーです。

食べ過ぎてもどっきりすることはなく、ふぅっ、ほぉっと温もります。

そんなスパゲティをその店以外に私は知りません。

軽く三十年以上食べ続けていますが、マスターとも奥さまとも会話はほとんどした事がなく、その距離感が好きでもありましたが、一昨年くらいに急にこのスパゲッティをいつまで食べられるのか不安になってマスターに声をかけました。

「おからだは大丈夫ですか?」
と唐突に話しかけてきたものだから口髭をはやした寡黙なマスターがギョッとしていました。

黒だった髪はいつの間にか白っぽく。もう70あたり。過ぎか手前かは忘れましたが、まだ健康なので安心してくださいと優しく笑ってこたえてくれました。

わたしも同じく年をとりました。

間違いなく人生で一番食べ続けている料理です。

その店がまだある事が有り難いですが、いずれにしてもいつかは終わりがくるけどこんなに食べてるからもはやそのスパゲッティのエッセンスは自分のからだにも少しくらいは含まれてそうだなぁ。。

と思いつつ、

今から飛び出せば食べれそうだけど微妙な時刻。明日は定休日。サッさと動けばすべり込めただろうに刻々と過ぎまして

とても微妙

久しぶりの雨がふっていますね、それではこれにて

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